地域において担っている役割
当院は、構成市の圏域における中核病院として、高度・急性期医療センターとしての役割を担っている。5疾病(がん診療、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)5事業(救急、小児、周産期、災害、へき地)などの政策医療においては、特に、がん専門医療の提供、脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病、救急医療について地域の中核的な役割を果たしており、今後も各機能の維持及び強化に努めるとともに、精神疾患、認知症などの高齢者医療、在宅医療、介護にも関わり、社会ニーズに沿った体制を整備し、地域の医療機関のほか関係機関との連携を推進していく。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率については、平成22年度以降100%以上を維持してきたが、平成28年度は、入院収益の落ち込み等が影響し、前年度(101.6%)に比べ1.9ポイント低下し100%を下回っている。②医業収支比率についても、前年度(101.7%)に比べ2.7ポイント低下している。③累積欠損金比率については、平成26年度の会計基準見直しに伴う退職給付引当金の一括計上により発生しており、早期解消に向けて計画しているが、平成28年度決算では純損失を計上したため減少には至らず、前年度(12.6%)に比べ1.1ポイント上昇している。④病床利用率については、平均在院日数の短縮化や特定の診療科における医師の不足等が影響し減少傾向となっている。一方、⑤入院患者1人1日当たり収益及び⑥外来患者1人1日当たり収益については、比較的高い水準で推移しており、患者さん1人当たりに対し、高度で専門的な医療を提供していると評価することができる。⑦職員給与費対医業収益比率については、前年度(52.3%)に比べ2.6ポイント上昇している。主な要因は、医業収益が前年度に比べ減少したことによるものである。⑧材料費対医業収益比率については、近年、高額な医薬品や診療材料を採用していることなどから増加傾向にあるものの、後発医薬品への切換や診療材料の価格交渉を徹底するなどの取り組みにより、前年度(21.8%)に比べ0.5ポイント低下している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、50.8%となり、全国平均及び類似団体平均値と比較し、ほぼ同様の償却率であるが、②機械備品減価償却率については、80%以上であり、当院が保有する医療機械の老朽化が、著しく進んでいることがわかる。これは、平成22年度の増改築工事完了までに多くの医療器械を一斉に導入及び更新したことが影響していると考えられる。
全体総括
上記の結果を踏まえ、今後、赤字を恒常化させないためにも、入院患者一人あたりの単価及び患者数を増やす取り組み等を検討し、入院収益の増加を図り、さらなる経営の効率化、収入の増加及び費用の削減に努めていく。また、老朽化が進む医療機械については、高度医療を担う大型医療機器の更新も含め、今後改めてその必要性、緊急性などを考慮し、購入すべきものの優先順位付けを行い、順次計画的な更新及び導入を図っていく予定である。今後も構成市における公立病院として、住民の命と健康を守り、安定した質の高い医療を継続的に提供するため、より一層の経営改善を推進するよう努めていく。