経営の健全性・効率性について
稲城市では、令和元年度から地方公営企業法を適用した。稲城市の下水道普及率は約99.3%とほぼ概成で、土地区画整理事業等により微増ではあるが人口増が継続している。人口増加に伴い水洗化率や有収水量の増加で、使用料収入は増えていること、元金償還が進み支払利息が減少していることなどから、①経常収支比率は103.62%と令和元年度の収支は黒字となっている。⑤経費回収率は平均値を上回っているものの100%に達しておらず、必要な経費を全て使用料収入で賄えていないが、接続率の向上や人口増による有収水量の増加で、今後、100%に達する見込みである。④企業債残高対事業規模比率は平均値を大きく下回っており、適切な起債をし事業を運営している。⑥汚水処理原価は、有収水量の増加から年々下がっており、平均値も下回っている。⑧水洗化率は、接続の勧奨や人口増などから微増ではあるが増加をしている。これらのことから安定した経営を行っており、より安定した持続可能な経営を行うため、今後も接続率の向上に努め、汚水処理に係るコストの削減の取組み等を続けていく必要がある。
老朽化の状況について
稲城市は昭和56年に下水道事業を着手し、普及率は99.25%とほぼ概成となっている。法定耐用年数を超える施設はなく、施設等の老朽化の度合いを示す①有形固定資産減価償却率は平均を大きく下回っている。今後、昭和の終わり頃に集中的に整備した施設の耐用年数が到来することから、施設の更新事業が課題となる。市民に安定したサービスを提供するため、下水道施設の適切な維持管理と更新事業が必要であることから、令和2年度策定のストックマネジメント計画基本方針に基づき、計画的に調査・点検、更新・修繕を行っていく。
全体総括
人口の減少による使用料収入の減少が懸念される中、稲城市は土地区画整理事業等で人口の増加が続いており、「第五次稲城市長期総合計画」では、計画期間である令和12年まで微増ではあるが人口の増加が見込まれている。下水道事業経営は安定しているものの、経常収支比率は103.62%、経費回収率も98.25%と高い数値ではなく、企業としてより安定した経営を行うため、経常収支比率や経費回収率のアップを目指した経営の効率化が必要である。今後、大量の施設の老朽化が見込まれ、多大な更新費用が必要となることを鑑み、令和2年度策定の「下水道事業経営戦略」「ストックマネジメント計画基本方針」を基に、持続可能で安定した下水道事業の経営基盤の構築を目指していく。