地域において担っている役割
当院は、二次医療圏における高度急性期後の入院医療の受け皿となっているとともに、下仁田町、南牧村の一般急性期と慢性期患者を担う。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、構成自治体からの繰入金によって前年比で6.6ポイント上昇したが、医業収支比率では、0.5ポイント下回り、改善と言える状況ではない。医業収支比率については、類似団体平均より低い水準が続いている。主に高齢者の慢性的な疾患が多いこと、外科医の不足で手術件数が少ないことに加えて、入院、外来患者数の減少による影響で一人一日当たりの収益が低い。このため、医業収益単価が低いことから、人件費の占める割合が多くなり、人件費の抑制を講ずる必要がある。累積欠損金も旧建物の取り壊し費用及び退職手当金積立の計上が、利益補てんできなかったことが影響し、平成25年度以降急激に増加していて、類似団体平均を大きく上回っている。病床利用率は高い率で推移しているが、入院患者一人当たりの一日の収益額は類似団体平均を大きく下回っている況で、外来患者についても同様の現状である。患者数の減少と高齢者の慢性疾患が患者の多数を占めていることが原因であると思われる。患者一人当たりの収益が低いことで職員の給与比率は類似団体平均より高い水準であり、経営に大きく影響している。地域内での医療スタッフの確保が困難であり、遠隔地からの通勤者が多く、交通費の負担も原因にあげられる。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、旧病院建物の除却により、平成24年度から平成25年度にかけて大幅に減少した。平成26年度から耐震化の工事で病院本館が新しくなり、有形固定資産の減価償却率は下がったが、器械備品減価償却率は、老朽化が進んでいて計画的な更新が必要である。
全体総括
地域住民に対する良質な医療の提供に努めているが、人口減少による患者数の減少に加えて、医療スタッフの不足により診療体制の維持も厳しい状況である。今後、療養病床の介護医療院化をはじめ、人口規模に応じた病院のダウンサイジングと在宅医療の強化を進めることで地域医療の継続的な供給を図る。