経営の健全性・効率性について
⑤経費回収率は、前年度数値が97.45%の誤りであり、実際にはほぼ横ばいとなっています。使用料収入で賄いきれない費用は、一般会計繰入金により補填しているため、①経常収支比率は100%以上であり、②累積欠損金比率は0%となっています。⑥汚水処理原価は、前年度数値が140.03円の誤りであり、修繕費や流域下水道管理運営費負担金等の費用増加と、有収水量の減少により、若干の増加となっています。今後も費用削減と使用料の適正化に努め、健全な経営を行う必要があります。③流動比率は、資本費平準化債の算定方法を修正したことで現金が増加したため、前年度よりも改善しましたが、類似団体平均値を大幅に下回っています。流動負債は、建設改良のために起こした企業債の元金償還金が多くを占めており、資金不足は生じていません。今後も企業債償還に充てる財源の適正な管理を継続する必要があります。④企業債残高対事業規模比率は、前年度数値が513.94%の誤りであり、企業債残高とともに減少しています。類似団体平均値よりも低水準で推移していますが、今後は老朽化した施設の改築更新が必要となるため、企業債残高が増加する見通しです。改築更新にあたっては、⑦施設利用率が低水準であることから、終末処理場(境野水処理センター)を適正規模にスペックダウンする必要があります。今後も人口減少が続くことを踏まえ、適正な投資規模を検討しながら、⑧水洗化率の向上に努めていきます。
老朽化の状況について
令和2年度から法適用企業となり、減価償却費を計上するようになったため、①有形固定資産減価償却率は低い値となっています。また、②管渠老朽化率は、前年度数値が6.29%の誤りであり、昭和40年代に建設した合流管渠が法定耐用年数を経過しているため、増加しつつあります。しかし、管渠の改築更新に未着手であるため、③管渠改善率が0%となっており、今後の老朽化対策が必要となっています。なお、本市においては、終末処理場(境野水処理センター)の老朽化・耐震性能不足が深刻な問題となっています。このため、令和3年度に策定したストックマネジメント全体計画に基づき、長期的な見通しの下で効率的な改築更新を実施するよう努めます。
全体総括
令和2年度から法適用企業となり、経営基盤の強化に取組んでいます。使用料については、令和2年度までに3段階で引上げを行い、経費回収率が約57%から約97%に向上しました。しかし、人口減少に伴う有収水量の減少、動力費(電力料金)の高騰、老朽化した施設の改築更新といった問題を抱え、厳しい経営環境となっています。その一方、この事業の区域が過疎地域の指定を受けたことから、過疎対策事業債を新たな財源として活用できるようになっています。こうした中、令和3年度に、ストックマネジメント全体計画の一部として経営戦略を策定し、令和7年度までに改定することとしています。費用削減の努力とともに、適正な使用料水準を検討し、将来にわたって持続可能な事業となるよう、合理的な経営に取組んでいきます。