経営の健全性・効率性について
令和元年度決算にあっては、令和2年度からの地方公営企業法適用化により、3月末での打切決算となっている。そのため、これまで出納整理期間に収納していた使用料収入が、令和元年度決算では未収金となっているため、収益的収支比率,企業債残高事業規模比率、経費回収率に影響を与えている。収益的収支比率は、打切り決算のため平成30年度よりも比率が減少しているが、特例的未収金となった使用料収入を加算すると86.28%となり、前年度に引き続き善傾向にある。これまで取り組んできた経営健全化の結果と考えられる。企業債残高対事業規模比率では、企業債の割合が増加しているものの、特例的未収金となった使用料収入を加算すると、比率は589.04となり前年度までと概ね同程度の水準となっている。経費回収率にあっては、比率が100%を大きく下回っているが、特例的未収金となった使用料収入を加算すると103.73%となる。黒字経営ではあるものの、分流式下水道に要する経費等の一般会計繰入に頼った構造となっており、更なる経費削減が必要となる。汚水処理原価は、分子である汚水処理費用が微減となった一方で、有収水量は増加傾向にあり、類似団体を上回っている。引き続き公共下水道普及を促進に努め、水洗化率向上及び適正な使用料収入の確保を進めていく。
老朽化の状況について
管渠改善率は、平成29年度には耐用年数等から老朽化が懸念される管渠の改築を実施したが、平成30年度に引き続き、令和元年度も改築実施箇所がなかったため改善率が0%となった。供用開始から40年が経過し、施設の老朽化が進行している。これまでの普及率の向上から施設の維持的な事業へとウエイトが高まってきている。すでに、改築・更新工事の基となる長寿命化計画を策定しており、計画に基づきポンプ場施設の改築・更新を順次進めてきた。今後は、耐用年数の差し迫った管渠等の施設の更新に対し、ストックマネジメント計画を策定し、事業規模に応じて更新を行っていく必要がある。
全体総括
本市の下水道事業は、昭和50年に整備が始まり、市街化区域の整備は概ね完了し、幹線管渠周辺の市街化調整区域の整備を行っている。現在、経費回収率や汚水処理原価において類似団体の平均を上回っているが、施設の老朽化や人口減少が見込まれるため、経費回収率や汚水処理原価の悪化が懸念される。令和2年度からは地方公営企業法が適用となることから、固定資産台帳の作成により下水道資産を把握し、老朽化した資産の改築・更新に努めるとともに、安定的に下水道サービスを提供するため、決算に基づき経営状況を的確に把握することで、より効率的で効果的な事業運営が求められる。