経営の健全性・効率性について
①経常収支比率230.46%のことから単年度収支が黒字であることがわかる。給水収益以外の収入(東京電力賠償金)に依存していることを、料金回収率15.26%であることから判断する。給水収益だけでは経営できる状態ではないことがわかる。②欠損金が発生していないため累積欠損金比率は0%となっている。欠損金が発生しない理由も東電賠償金による総収益の増加によるのである。③流動比率655.07%と100%を超えていることから短期的支払い能力がある状態と判断する。しかし、前述にもあるが賠償金に依存した比率と考える。④企業債残高対給水収益比率1396.10%と県内及び全国平均を上回る数値となっている。前年度に比べ、給水収益の増加、企業債の償還により数値が下降している。⑤料金回収率15.26%であり給水収益以外の収入で給水に係わる費用を大きく賄われていることがわかる。給水戸数の面で給水収益が震災以前ほどに戻る見込みがたてない状態である。⑥給水原価1599.41円と過大な数値となっている。しかし前述のとおり当町の状態から適切な数値ではないと判断する。年間総有収水量の増加により前年度に比べ下降傾向にあることはわかる。⑦施設利用率は年々増加傾向にある。令和3年以降より施設統廃合に向けた取り組みを行うため、より一層の利用率増加につながると考える。⑧有収率11.43%と現状、総配水量の大半が無収水量となっている。水道料金減免制度、水循環に必要な排泥と原因は判明している。
老朽化の状況について
①有形固定資産償却率44.98%と昨年度より低下している。過去5年のデータを比較した場合比率に推移があまりなく資産取得が増加していると考える。②管路経年化率38.18と平均値を大きく上回っていることがわかる。法定耐用年数を超えた管路の所持が影響している。石綿管も残っており今後の管路更新の必要性が高いと考える。③管路更新率2.75%と昨年度、県及び全国平均より大きく上回っている。苅野系統配水管布設、川添地区石綿管布設替工事が大きく影響を与えている。石綿管撤去工事を同様のペースで行いたいが、取水場配水池などの施設統合に伴う大規模工事行うことから長期的計画を立て財源に大きな負担がかからないよう取り掛かっていく。
全体総括
震災及び原子力事故により避難指示区域になったことで収益減少が大きく、収益に係わる賠償金がないと経営は不可能である。給水人口は年々増加しているが、事故以前に比べ大きな差がある。合理的な水運用、施設の統廃合を実施し、継続的に発生する費用の削減に努める。5年、10年を見越した中長期的経営計画に沿った、資金繰りを検討していく必要がある。管路更新は、継続的に災害復旧工事及び町の施工計画に合わせて管路を整備し効率的な運用を図る必要がある。