地域において担っている役割
8つの診療科を合わせ持ち、近隣の二次医療機関までは相当な距離があるため、地元住民にとっては欠かせないセフティーネットとなっている。現在の体制上、外傷や脳血管疾患など重度の緊急患者は、二次医療機関である公立置賜総合病院に転送せざるを得ず、実質的には軽度の救急患者の受け入れ場所となっている。このほか急性期治療後の回復期医療を担い、町内外の医療機関からの患者も受け入れるとともに、二次医療機関とも連携し、20床の地域包括ケア病床を運用しながら在宅復帰への橋渡しも行っている。
経営の健全性・効率性について
平成28年度において急落した病床利用率は、29年度に入院患者数の増加により70.4%まで回復したが、それ以降は年々減少し、令和元年度は53.4%とかつてない低い率となった。入院収益は前年比28,181千円減少し、経営悪化につながった。外来患者数も減少しており、外来収益は前年比11,841千円減少した。町外に患者が流出している様子も見受けられないことから、健康な高齢者が増えたことに加え、全体の人口減少が広く影響しているものと思われる。
老朽化の状況について
平成11年度に移転・新築された現施設も、開院から20年を経過し、設備関係を中心に老朽化が著しい。病院のほか、健康管理センターと老人保健施設が一体となった建物であり、冷暖房にはガスを熱源として冷温水を発生させる中央配管システムを採用しているが、冷暖房のトラブルは入院患者や入所者の健康及び生命にも関わってくる問題であるため、大きな課題となっている。また県内有数の豪雪地帯であり、雪害による建物の損傷にも苦慮している。
全体総括
総収益は前年比4.8%の減となり、総費用は前年比0.5%の増となった。経常収支比率は92.7%と前年を5.3%下回り、8年連続となる経常赤字は回避できなかった。この結果前年度末に14,513千円あった未処理欠損金の残高は、当年度末94,856千円まで増加することとなった。当院の経営構造は入院収益に左右される傾向が極めて強い。引き続き院内の委員会を通じて、収益の確保、経費削減などで経営改善に具体的に結びつくものを洗い出し、経営の安定化に向けた対策を講じる必要がある。