経営の健全性・効率性について
平成23年度に東日本大震災による災害復旧の為、維持管理費が大きく増加した影響はあるが、平年についても収益的収支比率ベースで単年度赤字となっている。また、料金体系を戸割・人頭割としているため、近年の人口減及び世帯減により料金収入は微減を続けている。維持管理費の縮減により、収益的収支比率は微増傾向にあるが、近い将来の老朽化による維持管理費の増を考慮すると、長期的に経営が健全化しているとは言い難い。企業債残高対事業規模比率については、資本費を公費負担としているため、当該地が0となっている。これにより、経費回収率における汚水処理費は、維持管理費のみを賄うこととなり、汚水処理原価と併せて全国平均及び類似団体平均と比較して良好な傾向にあるが、今後の人口減少と施設老朽化に伴う維持管理費の増が経営悪化の直接的要因となるため、徐々に悪化するものと推察される。施設利用率は全国平均と類似団体平均を上回っており例年ほぼ同水準で推移している。これは、人口減少と水洗化率の伸び、不明水の増加による小康状態である可能性が高いが、今後は市街化調整区域の人口減少が顕著であることを考慮すると、利用率は低下していくものと思われる。
老朽化の状況について
現在法定耐用年数を経過した管渠を保有していないため、積極的な改築更新を実施していないが、施設利用人口の減少を続けているが、施設利用率が減少していないことから、不明水が増加していることが推察され、管渠の老朽化によるものと思われる。
全体総括
分析の結果、今後は使用料の改定と更なる維持管理費の圧縮が必要であることが明らかになった。現在は経費縮減のために発生対応型の維持管理を実施しているが、管渠は供用開始後30年以上を経過している為、中長期的な維持管理を見据えて予防保全型維持管理にシフトする必要がある。このため、使用料体系や単価の見直しは急務である。さらに、類似事業である公共下水道に対し、農業集落排水区域を段階的に統合することにより、老朽化した処理場を廃止することで、維持管理費を削減し、全町として効率的な汚水処理に資する。