地域において担っている役割
当院は、大仙・美郷を主な圏域とする全国でも稀な精神科単科の市立病院である。当地域では、高齢化に伴い認知症への医療需要が増加しており、当院では精神疾患を持つ患者の地域生活やその家族を支える医療を確保するため、医療機関相互の連携を行っている。また、医療を必要とする人と医療を結び付けるための医療・福祉・行政のネットワーク形成に積極的に関与し、専門病院としての立場から地域医療の基盤を支えている。
経営の健全性・効率性について
経常収支はこれまで黒字を維持しているが、市の一般会計から普通交付税及び特別交付税として算入されている基準内の繰入れを受けているためである。医業収支は赤字であり、その赤字幅を縮小させる必要があるが、職員給与費が9割を超え、経営を圧迫している。病床利用率は、平均値を超えているが、高齢化や地域の人口減少により、入院及び外来患者数はともに減少傾向にある。また、入院患者及び外来患者1人1日当たりの収益が類似病院の6割程度となっており、収益性の向上が課題となっている。
老朽化の状況について
平成8年12月の設置から25年以上経過し、施設の老朽化が進行しており大規模な改修が必要な状況となっている。令和3年度から4年度の2か年計画で空調設備改修工事を、さらに令和4年度以降、火災報知設備の更新及び屋上の防水シート張替え工事を予定している。大規模改修工事が続くため、これまで以上に財源の確保が重要となるが、今後も計画的に施設設備の更新を行い、施設設備の維持を図っていく。
全体総括
医業収益の増加を目標とし、患者数の維持と可能な施設基準の取得に取り組みながら、在院日数の短縮などによる効率のよい収益構造を目指す。定期的に市内の福祉施設と認知症関連の勉強会を開催するなど、各関係機関との連携に努めており、平成30年度からは大仙市の福祉事業である認知症初期集中支援推進事業に参画している。また、地域の総合病院への診療応援や、訪問看護などのアウトリーチ事業などにも力を入れている。今後も、精神医療を提供する公的病院として、地域住民の皆様のこころの健康と福祉に貢献し、地域生活の基盤を支える、地域になくてはならない病院を目指していく。