経営の健全性・効率性について
①経常収支比率について給水人口の減少に伴う収益の減少により，経常収支比率は年々減少傾向にありますが，今後も100％以上を維持するために，費用削減等の経営効率化を図る必要があります。②累積欠損金比率について平成30年度において，基幹浄水場の移転復旧事業完了に伴い発生した，約22億円の累積欠損金に対し，当年度約7億円の純利益を全額欠損金の補填に使用したことにより，減少しています。累積欠損金の解消に向けて，経営の効率化に取り組み，翌年度以降発生する純利益をもって早期の解消を図っていきます。③流動比率について短期的な安全性について，財務上及び継続的な経営活動に問題は生じておりません。なお，当年度においては平成30年度と比較して，未収金，前払金が増加し，流動比率を上昇させたことから，類似団体と比較しても健全な状況となっております。④企業債残高対給水収益比率について類似団体と比較して低い水準であり，年々減少していますが，老朽化した施設の改良・更新事業が控えているため，企業債の発行について財政状況を分析し，他団体との状況を比較しながら適切な起債を計画していきます。⑤料金回収率について100％を上回っており，類似団体と同様の水準であることから，適切な料金収入を確保できていると判断できますが，水需要の減少に加え，今後老朽管等の更新に多額の財政需要を見込んでいるため，安定した健全経営に向けた，費用削減等の取り組みが必要です。⑥給水原価について平成29年度までの水準に持ち直したものの，依然として類似団体よりも高い水準にあります。市町合併による固定資産の増加や，給水区域が広域的かつ人口密集度が低いこと等により，減価償却費や維持管理費が大きな割合を占めていることが要因となっています。⑦施設利用率について年々減少傾向にあり，類似団体と比べて低い水準にあります。震災の影響等による給水人口の減少に伴い，配水量が減少していることが主な要因となっています。将来の水需要に対応した施設の更新，統廃合等を計画的に実施し，効率的な水運用に努めていく必要があります。⑧有収率について他団体よりも低い水準ではありますが，老朽管の更新や漏水防止対策等の推進により，上昇傾向にあります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却費率について有形固定資産の老朽化度合について，前年度と比較し，ほぼ横這いで推移しており，類似団体より低い水準となっています。今後も老朽施設の更新については，計画的かつ効率的に取組んでいきます。②管路経年化率について管路の老朽化度合について，前年度と比較し増加しており，依然として類似団体より高い水準であり，管路の老朽化が進んでいる状況です。投資財源の確保や経営に与える影響を分析し，計画的かつ効率的に更新を実施していく必要があります。③管路更新率について東日本大震災以降は，災害復旧事業に重点を置いた建設改良事業を行っています。災害復旧事業における管路の更新に伴い，当年度の更新率は前年度より大幅に上昇し，他団体よりも高い水準となりましたが，本格的な老朽管の更新事業は，災害復旧事業が完了した以降を見込んでおります。
全体総括
・経営の健全性・効率性については，経常収支比率や流動比率の状況から，概ね健全な財政状況にあり経営の安全性は確保されていると判断できます。平成30年度において発生した約22億円の累積欠損金については，当年度の純利益を補填し，減少を図ったところでありますが，約15億円が残額として翌事業年度に繰り越されることから，引き続き，後年度の純利益をもって解消を図り，累積欠損金の早期解消に向け，今後も経営の効率化に努めていく必要があります。また，給水収益の状況については，給水人口の減少も顕著となっているため，増収が見込めない状況にあり，今後も大変厳しい経営環境が続くと予想されます。・老朽化の状況については，とりわけ管路の老朽化が進んでいます。現在は災害復旧事業に重点を置いた建設改良事業を実施していますが，事業の終息に合わせて，将来の水需要の動向を見極めながら，適正規模での改良・更新を検討し，計画的かつ効率的に更新事業を進めていく必要があります。・当企業団の水道事業においては，前述のとおり，継続的に事業を運営するうえで多くの課題を抱えています。課題解決に向け，なお一層の効率的経営に努めていく中で，当地域の景気動向及び復興状況などの社会情勢と当企業団の財政状況を分析し，適切な料金水準の検討，また，更新事業にあたっては，施設の統廃合等の検討を含め，適正規模での投資計画を策定し実行していく必要があります。
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